甘い血 (6)

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 こうして森の魔女は二人になった。少なくとも何十年かの間はね。
 えっ、二人はそれからどうなったかって? そのあとは魔女の噂はあまり聞かなくなった。この辺りで大きな戦争が起きて、子供を捨てる習慣も消えていった。
 二人は別の場所の子供達を助けるために移住したのかもしれないし、あるいは二人はひっそりと幸せに、今でもあの森で暮らしているのかも知れない。
 でも、一つだけ確かなことがあるよ。今でも一緒の時間、永遠の時間を二人で過ごしているってことさ。
 君にもいつか、そんな恋がやってくるといいね。そんな永遠に色褪せない恋が。
 二人と違って永遠に生きることはできないって?
 確かにそうかもね。でも、自分に許された時間が尽きるまで相手を好きでいたら、それは自分にとっての永遠と同じじゃないかな。それに、命は有限でも、想いは無限だ。諦めさえしなければ、誰にも負けない最高の恋がきっとできるよ。
 さあ、今日の話はこれでおしまい。今日はゆっくりお休み……。
 


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